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海外駐在員の目から見た日本とイギリス


by Mikihiko_Makita
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Yさんの一時帰国

会社の上司、日本人のYさん。彼はスペイン人の奥さんがいる。その奥さんとの間に、2人のハーフの娘がいる。
Yさんの家族はマドリッドに住んでおり、Yさんはロンドンに単身赴任している。月に1~2回程度、Yさんは週末にマドリッドに帰り、家族との時間を過ごしている。家族の間で交わされる言語はもちろん、スペイン語。Yさんのスペイン語は、ほぼネイティブに近い。スペイン人と電話で話しているところなどを見かけると、正直モノスゴク格好いい。
Yさんは「人間、何か1つでも人に誇れるものがあれば生きていける。私の場合はそれがスペイン語」といつも僕に言う。
残念ながら、僕にはまだYさんのスペイン語ほど人に誇れるものが無い。だから、僕はYさんを尊敬している。

先日、Yさんが家族のみんなを連れて、日本の実家に帰郷した。Yさんの実家は大阪にある。数日の間、Yさんのご両親と束の間の休暇を過ごしたそうだ。

で、これはYさんの家族みんなで日本の民放TVを見ていた時のこと。
夏の夜、番組は「心霊○○」といった類のよくあるミステリーの内容(なぜ家族団欒でそんな番組を見ていたのか知らないが)で、日本語の分からない娘たちのために、Yさんはその内容をかいつまんでスペイン語で説明していたらしい。

画面では、一人の女性霊媒師が、訪問してきた人(客)に憑いている霊を鎮めようと、念仏を唱えながら何かの葉を客の頭上に振りかざしているシーン。

直後、その客がガクガクと震えだした。いかにも苦しそうだ。
そして次の瞬間、客は四つん這いになり白目をむいて発狂しだしたのだ。

霊媒師によると、その客には 狐が憑いている (?)のだという。

驚いたのはYさんの娘さんたち。
「な、なに?何が起こったの?この人はどうしたの?」
と矢継ぎ早にYさんに説明を求める。

Yさんにして、この 狐に憑かれている という状態をスペイン語で説明するのが非常に難しかった、という。

そりゃ、そうだ。だって、キツネだよ。Foxですよ、英語で言うところ。どうすればそんな動物が人間に「憑く」のでしょう。
うまく説明できたところで、間を置かずに次の質問が飛んでくることは目に見えている。Yさんは娘さんたちの無垢な問いかけを適当にはぐらかすしかできなかった。

そんな日本での土産話をYさんから聞いて、なんだかその場面を想像して吹き出してしまう今日の午後だった。
by mikihiko_makita | 2005-09-10 08:58